1. 電圧・相
三相 200V:動力系(ポンプ・空調・一般動力)の標準電圧。
2. 負荷設備の入力
容量は kW で入力してください。力率はデフォルト0.8ですが、設備に合わせて変更してください(インバータ・LED照明は0.95〜1.0、モーターは0.7〜0.85が目安)。
3. 設計係数
需要率は建物用途で大きく変わります(事務所50〜70% / 工場60〜80% / 商業70〜90% / 住宅30〜50%)。不等率は負荷群の同時使用のばらつきを表し、1.1〜1.5 が一般的。増設率は将来の機器追加を見込む余裕。
計算式・選定ロジック
① 各設備の皮相電力:
kVA = kW ÷ 力率
② 合計皮相電力:
ΣkVA = Σ(kW÷力率)
③ 必要容量:
必要kVA = (ΣkVA × 需要率 ÷ 不等率) × (1 + 増設率)
④ 標準容量から必要kVA以上の最小値を選定
kVA = kW ÷ 力率
② 合計皮相電力:
ΣkVA = Σ(kW÷力率)
③ 必要容量:
必要kVA = (ΣkVA × 需要率 ÷ 不等率) × (1 + 増設率)
④ 標準容量から必要kVA以上の最小値を選定
需要率で「同時使用の程度」を、不等率で「負荷群全体での時間的ばらつき(分母で効く=容量を軽く見る係数)」を考慮します。内線規程では建物用途別・負荷種別ごとに分けて計算するのが原則ですが、本ツールは合計に一律の需要率を掛ける簡易版です。
変圧器の標準容量(JEC/JIS)
| 区分 | 標準容量 [kVA] |
|---|---|
| 単相 | 5・10・15・20・30・50・75・100・150・200・300 |
| 三相 | 10・15・20・30・50・75・100・150・200・300・500・750・1000 |
JIS C 4304(配電用油入変圧器)・JIS C 4306(モールド変圧器)等に規定の標準容量。メーカー標準品から選ぶのが一般的です。
用語の意味
- 皮相電力 (kVA)
- 電圧と電流の積で、変圧器の定格はこの kVA で表します。皮相 = 有効 + 無効(ベクトル和)。
- 有効電力 (kW)
- 実際に仕事をする電力。機器の定格銘板やカタログはこちら表示が多い。
- 力率 (cosφ)
- 有効電力÷皮相電力。1に近いほど無駄がない。モーターは0.7〜0.85、LED・インバータは0.95〜1.0 が目安。
- 需要率
- 設備容量に対する最大需要電力の比率。「全負荷が同時にフル稼働しない」という前提で容量を減らす係数。
- 不等率
- 複数負荷群のピーク時刻がずれることを表す係数(1以上)。負荷の合計最大÷合成最大。分母で効くので、大きいほど必要容量は小さく出ます。
- 増設率
- 将来の機器追加を見込んで確保する余裕。20%前後が一般的。
- 使用率・余裕率
- 使用率 = 実負荷÷変圧器容量。余裕率 = 1 − 使用率。60〜80%の使用率に収まると運用しやすい(温度上昇・高調波・力率への耐性が残る)。
- 不平衡率(単相3線式)
- L1-N と L2-N の負荷の偏り。「内線規程 1305-2」では設備不平衡率 40%以下(一般負荷)を推奨。30%以内に抑えると中性線電流・電圧降下の偏りを低減できます。
建物用途別 需要率の目安
| 建物用途 | 需要率 | 備考 |
|---|---|---|
| 事務所 | 50〜70% | OA機器・空調が主体 |
| 工場 | 60〜80% | 動力込み。稼働率が高いほど大 |
| 商業施設 | 70〜90% | 営業時間中は同時使用率高 |
| 住宅(集合) | 30〜50% | 世帯数が多いほど不等率で下がる |
| 学校 | 50〜60% | 休日・夜間は大幅低下 |
| ホテル | 40〜60% | 客室稼働で変動大 |
| 病院 | 50〜70% | 医療機器・非常電源考慮 |
数値は一般的な目安です。実設計では建物用途や負荷種別(照明・動力・空調)ごとに細かく需要率を設定するのが原則(内線規程 1305節)。
負荷種別ごとの力率の目安
| 負荷 | 力率 | 備考 |
|---|---|---|
| 白熱灯・電熱器 | 1.0 | ほぼ純抵抗負荷 |
| LED照明 | 0.9〜0.95 | 器具により差あり |
| 蛍光灯(安定器) | 0.65〜0.85 | 力率改善コンデンサで向上 |
| 一般コンセント | 0.8〜0.9 | 設計計算では0.8が一般的 |
| エアコン(インバータ) | 0.9〜0.95 | 運転条件で変動 |
| 誘導電動機(小) | 0.75〜0.85 | 軽負荷時ほど低下 |
| 誘導電動機(大) | 0.85〜0.9 | 定格運転時 |
| 溶接機 | 0.35〜0.5 | 瞬時負荷・突入あり |
| UPS・インバータ | 0.85〜0.99 | 機種による |
力率の低い負荷は無効電力が多く、変圧器容量(kVA)を圧迫します。進相コンデンサによる力率改善や、高効率機種への更新を検討してください。
高調波対策(高調波抑制対策ガイドライン)
対象:受電容量 50kVA 以上の需要家で、高調波発生機器(インバータ・整流器・UPS・アーク炉など)の等価容量(換算係数 K5〜K7)合計が一定値を超える場合、電力会社との協議と対策が必要。
主な対策:
・高調波抑制用リアクトル(AC/DCリアクトル)
・アクティブフィルタ
・パッシブフィルタ(LC同調)
・変圧器のK-ファクタ対応品採用
・多パルス化(12パルス・18パルス整流)
・高調波抑制用リアクトル(AC/DCリアクトル)
・アクティブフィルタ
・パッシブフィルタ(LC同調)
・変圧器のK-ファクタ対応品採用
・多パルス化(12パルス・18パルス整流)
高調波が多い系統は変圧器温度上昇・コンデンサ焼損・中性線過電流の原因となります。インバータ・整流器主体の設備では変圧器を1ランク上で選定する検討も有効です。
単相3線式の相バランス
設備不平衡率 = |L1相の負荷 − L2相の負荷| ÷ 平均負荷 × 100 [%]
内線規程 1305-2 では、一般負荷は40%以下、低圧幹線の不平衡率は30%以下を推奨。本ツールでは30%を判定基準とします。
バランスが崩れると:
・中性線電流が増加し発熱・電圧降下が偏る
・変圧器の効率が低下
・高調波(3次)では中性線電流が重畳しさらに悪化
設計時は L1-N / L2-N の負荷を均等配分するのが基本です。
・中性線電流が増加し発熱・電圧降下が偏る
・変圧器の効率が低下
・高調波(3次)では中性線電流が重畳しさらに悪化
設計時は L1-N / L2-N の負荷を均等配分するのが基本です。
現場でのポイント
電灯と動力は別変圧器が基本:住宅・一般建築では単相3線(電灯)と三相3線(動力)で変圧器を分けます。共用すると負荷変動による電灯側電圧のちらつきや、力率差による設計困難が生じます。
変圧器は使用率60〜80%で設計:余裕率が少なすぎると突入電流・増設に対応できず、逆に余裕が大きすぎると無負荷損が目立ち効率低下。60〜80%の運用を目標に。
起動電流(突入電流)に注意:大容量モーターを直入れ起動すると、定格の5〜7倍の電流が瞬時に流れます。変圧器容量が小さいと電圧降下で他設備に影響。始動補償器・インバータ起動・Y-Δ始動で軽減。
受電容量(契約電力)との整合:変圧器容量と受電契約電力は別物。契約電力は需要率考慮後の値、変圧器は短時間ピーク・起動電流まで耐える必要があります。
モールド形 vs 油入形:モールド(乾式)は屋内・低騒音・不燃で近年の主流。油入は効率良好だが油漏れ・消火対策(防油堤)が必要。キュービクル内は一般にモールド形が使われます。
設置スペースと搬入ルート:500kVA を超えると重量1トン超となり、搬入経路・養生・吊込み計画が必須。事前にメーカーの寸法図・重量表で確認を。
関連規程・参考資料
参照版号(ツール作成時点):内線規程 JEAC 8001-2022年版/高圧受電設備規程 JEAC 8011-2020年版/電気設備技術基準・解釈(経済産業省・現行版)/関連 JIS(各規格の現行版)。規程は数年ごとに改訂されます。最新版との差異は現場の設計図書・電気主任技術者の判断を優先してください。
- 電気設備技術基準 / 解釈
- 高圧受電設備・変圧器施設の基本要件を定める法令・解釈集。
- 内線規程 (JEAC 8001)
- 民間規程。需要率・不等率・相バランス・変圧器選定の実務根拠。1305節に幹線設計が整理されています。
- 高圧受電設備規程 (JEAC 8011)
- 自家用受電設備の保安管理に関する規程。キュービクル設計でよく参照。
- JIS C 4304 / JIS C 4306
- 配電用油入変圧器(C4304)/乾式変圧器(C4306)の規格。標準容量・効率・温度上昇規定。
- 高調波抑制対策ガイドライン
- 経済産業省/資源エネルギー庁。受電容量・機器種別で換算係数が示されています。
安全注意:本ツールは設計初期の容量検討を支援する簡易ツールです。実際の設計・施工は電気主任技術者・メーカー技術者との協議の上、個別条件(高調波・起動電流・熱管理・電圧降下・短絡容量)を反映して最終判断してください。