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DDK合同会社 Digital Design Knowledge

絶縁耐力試験電圧早見表

ツール一覧
1. 対象設備の電圧区分
2. 対象設備の種類
電路全般(電線・母線・開閉器含む回路)の試験基準を表示します。
3. 使用電圧(公称電圧)
6,600V(高圧受電)の場合、最大使用電圧は 6,900V(×1.15/1.1)、試験電圧は 10,350V(最大使用電圧×1.5)です。
4. 試験電圧・試験時間
試験電圧(交流)
— V
直流代替試験電圧
— V
交流試験電圧 × 2
試験時間
10 分
規定電圧を連続印加
最大使用電圧
— V
使用電圧 × 1.15/1.1
倍率
電技解釈 第15条
電気設備技術基準の解釈 第15条に基づく試験電圧値です。
5. 試験前 安全チェックリスト(タップで進捗管理)
0 / 7 完了
重要 絶縁耐力試験は活電作業に準じます。作業開始前の検電・接地取外し・声掛け確認を徹底し、責任者の指揮下で実施してください。
6. 試験手順
  1. 試験前の絶縁抵抗測定:1,000Vメガで10MΩ以上を確認。低い場合は原因調査(湿気・汚損・CT/VT絡み)。
  2. 試験電圧を0Vから徐々に昇圧:急激な昇圧は絶縁破壊の引き金。1分あたり規定電圧の30〜50%程度を目安に。
  3. 規定電圧で10分間印加:連続印加中は漏れ電流の推移・異常音・臭気を注視。
  4. 漏れ電流の記録:開始直後・1分・5分・10分のタイミングで記録。時間とともに減少傾向が正常。
  5. 徐々に降圧して試験終了:0Vまで降圧後、必ず残留電荷の放電(接地棒で大地に落とす)を実施。
  6. 試験後の絶縁抵抗測定:試験前と同等以上であることを確認。著しく低下していれば再試験・調査。
  7. 接地の復旧・記録整理:短絡接地を戻す/試験記録(電圧・時間・漏れ電流・環境条件)を残す。
7. 判定基準
合格条件(すべて満たすこと):
① 10分間の連続印加中に絶縁破壊(閃絡・急激な電流増加・異常音)がないこと
漏れ電流が規定値以内(設備仕様・メーカー値に従う。一般的には数mA以下で安定)
試験後の絶縁抵抗が試験前と同等以上(著しい低下がない)
漏れ電流が時間経過で増加傾向の場合、絶縁劣化の兆候です。直ちに試験を中止し原因調査してください。
―― 参考情報(タップで展開) ――
試験電圧一覧(電技解釈 第15条)
電圧区分(最大使用電圧)試験電圧時間
低圧(300V以下)最大使用電圧 × 1.5
(最低500V)
10分
低圧(300V超〜600V以下)最大使用電圧 × 1.510分
高圧(7,000V以下・6,600V等)最大使用電圧 × 1.5
例:6,600V → 10,350V
10分
特別高圧(7,000V超〜15,000V以下、中性点接地式)最大使用電圧 × 0.9210分
特別高圧(7,000V超〜60,000V以下、中性点接地式以外)最大使用電圧 × 1.25
(最低10,500V)
10分
特別高圧(60,000V超〜170,000V以下、中性点直接接地式)最大使用電圧 × 0.6410分
特別高圧(60,000V超〜170,000V以下、直接接地式以外)最大使用電圧 × 1.2510分
特別高圧(170,000V超、中性点直接接地式)最大使用電圧 × 0.7210分
ポイント:区分は「使用電圧」ではなく「最大使用電圧」で判定します。最大使用電圧は電技解釈 第1条で定義。低圧は使用電圧×1.15高圧・特別高圧は使用電圧×1.15/1.1(例:6,600V→6,900V)です。本ツールは使用電圧の入力から最大使用電圧を自動換算します。
最大使用電圧は「電技解釈 第1条」で定められた値。低圧は使用電圧×1.15高圧・特別高圧は使用電圧×1.15/1.1(詳細は条文参照)。
⚠ 60kV超の特別高圧区分について(要原本確認)
60,000V超〜170,000V(中性点直接接地式)と 170,000V超(中性点直接接地式)の倍率は、電技解釈の改正で規定が変わる可能性があります。特別高圧案件では必ず電技解釈 第15条の最新条文原本で倍率を確認してから試験を実施してください。本ツールの6,600V高圧受電(×1.5)・22kV/33kV非接地(×1.25)は実務で広く用いられる値です。
ケーブル試験の直流代替
ケーブルは静電容量が大きく、交流試験電源に大電流(充電電流)が必要になるため、
交流試験電圧の2倍の直流電圧で代替することが認められています(電技解釈 第15条)。
使用電圧最大使用電圧交流試験電圧直流代替
低圧 500V523V785V1,570V
高圧 6,600V6,900V10,350V20,700V
特高 22kV(非接地)23,000V28,750V57,500V
特高 33kV(非接地)34,500V43,125V86,250V
特高 66kV(非接地)69,000V86,250V172,500V
直流試験は漏れ電流が交流充電電流に埋もれないので絶縁劣化の判定が明確。CVケーブルでは直流試験後に残留電荷(空間電荷)が溜まるため、試験後は十分な時間(数時間〜)をかけて放電し、可能なら交流試験へ切替える運用もあります。
用語の意味
使用電圧(公称電圧)
回路の公称的な電圧。低圧100/200V、高圧6,600V、特別高圧22,000V・33,000V・66,000Vなど。
最大使用電圧
電技解釈 第1条で定める値。低圧は使用電圧×1.15、高圧・特別高圧は使用電圧×1.15/1.1(例:6,600V→6,900V)。運用中に許容される最大電圧の基準。
試験電圧
絶縁耐力試験で印加する規定電圧。最大使用電圧に倍率(0.72〜1.5)を掛けて算出。
絶縁耐力試験
規定電圧を10分間連続印加し、絶縁破壊や漏れ電流の異常がないことを確認する試験。新設受電設備の使用前自主検査・定期点検で実施。
絶縁抵抗測定(メガリング)
絶縁抵抗計で回路と大地間の抵抗値を測る試験。耐圧試験の前後に実施し、値の比較で劣化を判定。
漏れ電流
絶縁体を通して流れる微小電流。絶縁劣化で増加する。耐圧試験中の推移監視が重要。
閃絡(フラッシュオーバー)
絶縁物の表面・空間を高電圧が飛び越える現象。アーク音・閃光を伴う。試験中の閃絡は即不合格。
中性点接地方式
三相系統の中性点を接地する方式(直接接地・抵抗接地・非接地)。地絡電流と異常電圧の抑制を兼ねる。電圧区分と共に試験電圧倍率が変わる根拠。
よくあるトラブル・落とし穴
CT・VT が絡むと絶縁抵抗が0になる:計器用変成器の二次側が開放のまま試験すると誘起電圧で焼損・感電の恐れ。試験前にCT二次側を短絡・接地、VT二次側を開放してください。
コンデンサ充電電流で絶縁抵抗計が動かない:SC(進相コンデンサ)や長尺ケーブルは静電容量が大きく、メガ投入直後は電流が流れ続け値が読めません。分離して試験するか、十分な時間待って値の収束を確認。
湿気・汚損で試験値が下がる:雨天・高湿度・絶縁物の汚れは表面漏れ電流を増やします。拭き掃除・送風乾燥で条件を整えてから試験を。
接地抵抗が高いと試験精度が落ちる:試験器のアース接続不良は参照電位がブレて判定困難。接地抵抗10Ω以下を目安に確実な接地を。
避雷器(LA)を付けたまま試験しない:避雷器は試験電圧で動作(放電)する可能性があります。試験前に取り外し、試験後に復旧してください。
試験後の残留電荷に注意:特にケーブル・コンデンサは試験終了後も高電圧が残ります。必ず放電(接地棒で複数回接地)してから触れてください。
関連法令・規格
電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)
第15条「電路の絶縁性能」が絶縁耐力試験の根拠法令。
電気設備の技術基準の解釈(電技解釈)
第1条(電圧の種別等)で最大使用電圧を定義、第15条(電路の絶縁耐力)で試験電圧・時間を規定。
電気事業法施行規則 第65条
自家用電気工作物の使用前自主検査・定期検査の項目として絶縁耐力試験を規定。
JEAC 8001(内線規程)
一般社団法人日本電気協会。民間実務規程。低圧・高圧電路の試験実務を整理。
JEAC 8011(高圧受電設備規程)
自家用高圧受電設備の設計・保安管理規程。使用前自主検査の標準手順。
JEAG 5002 等
発変電設備の耐圧試験指針(特高向け)。
現場でのポイント
連絡体制:試験実施者・監視員・責任者の無線/声掛けルートを事前確認。試験開始前に「これより通電します」の声掛けと全員の退避確認を徹底。
試験器の容量選定:ケーブル亘長が長い/コンデンサ容量が大きい場合、交流試験器では必要充電電流が足りず規定電圧に達しないことがあります。事前に静電容量を概算して試験器容量を確認。
環境条件の記録:気温・湿度は絶縁値に影響します。試験記録に必ず環境条件を残し、年次比較ができるようにしておくと劣化傾向の把握に役立ちます。
受電前の使用前自主検査:新設キュービクルは竣工時に絶縁耐力試験を含む使用前自主検査が義務(電気事業法)。電気主任技術者の確認・記録が必要。
安全注意 本ツールは試験電圧・時間の目安を示す参考ツールです。実際の試験は電気主任技術者の指揮下で、設備仕様書・メーカー試験要領・関係法令に従い実施してください。試験は生命に関わる高電圧作業です。