分岐距離判定(内線規程1360-9)
幹線から分岐する箇所と、その分岐電線・分岐距離を入力します
幹線側のブレーカー・ヒューズの定格
上のサイズを選ぶと自動入力。手で書き換えてもOK
分岐点から分岐側過電流保護器までの長さ
このカードで分かること:「分岐側に過電流保護器を置かなくて済むか」「現状の分岐電線サイズで内線規程1360-9を満たすか」。NGの場合は必要な許容電流を逆算して表示します。
許容電流の温度基準:CV 3心・IV 線は30℃ 基準(内線規程ベース)/CV-T・CV-D・CV-Q は40℃ 基準(フジクラ・ダイヤケーブル公式カタログ・1条布設)。同じサイズでも温度基準が違うと数値が異なります。実機の周囲温度・収容本数に合わせて温度補正・電流減少係数を別途検討してください。
分岐ケーブルのサイズを決めたい時は
このツールは「分岐距離 → 必要許容電流」の判定専用です。
負荷条件(kW・力率・電圧)から分岐ケーブルのサイズそのものを決めたい場合は、以下の専用ツールを使ってください。
使い方の流れ:①そっちで分岐ケーブルのサイズを決めて許容電流を確認 → ②このツールに戻って分岐距離が35% / 55%ルールを満たすか判定。
計算根拠と公式
幹線から分岐回路を取り出すとき、分岐点から分岐側の過電流保護器(または負荷)までの長さによって、許容される分岐電線の最小許容電流が定められています。
L ≤ 3m :分岐電線許容電流 ≥ 幹線定格 × 0.35
3m < L ≤ 8m:分岐電線許容電流 ≥ 幹線定格 × 0.55
L > 8m :原則、分岐側に過電流保護器を施設して距離無制限
※ 35% / 55% は内線規程1360-9で確定の値。8m超の例外条項(分岐電線の許容電流が幹線過電流保護器の定格未満でも認められる細則など)は現場条件と保護協調により判断が変わるため、本ツールでは「過電流保護器を施設すれば距離無制限」とのみ表示します。
用語の意味
- 幹線(かんせん)
- 受電点・分電盤から負荷側へ向かう、各分岐回路の元になる配線。一般に太い電線を使う。
- 分岐回路
- 幹線から分岐して負荷に至る配線。各回路は 原則として分岐側に過電流保護器(ブレーカー)を施設する。
- 過電流保護器
- 過電流(過負荷・短絡)から電線・機器を守る遮断器。配線用遮断器(MCCB)・ヒューズなど。
- 内線規程 1360-9
- 「幹線から分岐する電線は分岐点から原則3m以下の箇所に過電流保護器を施設する」という条文。例外として分岐電線の許容電流が幹線過電流保護器の定格電流の 35%以上なら距離無制限の3m以内、55%以上なら3m超〜8m以内、まで過電流保護器を省略できる。
- 許容電流(アンペアシティ)
- 電線が連続して安全に流せる最大電流。種類により基準温度が異なる(CV 3心・IV:30℃/CV-T・CV-D・CV-Q:40℃)。サイズ・絶縁体・布設方法・本数で決まる。
- 電流減少係数
- 同一管内に多数の電線を入れたときの放熱悪化を補正する係数。3本以下:0.70 / 4本:0.63 / 5〜6本:0.56(内線規程1340節)。分岐電線を電線管内に複数収容する場合は、許容電流に係数を掛けて補正する。
- CV(一括シース型)/ CV-D / CV-T / CV-Q
- CV:架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル。多心一括シース型は CV2C・CV3C・CV4C と表記する。
CV-D:単心CVを2本撚り合わせたもの(単相用途)。
CV-T:単心CVを3本撚り合わせたもの(三相用途、放熱が良好で許容電流が大きい)。
CV-Q:単心CVを4本撚り合わせたもの(三相+中性線/接地線用)。 - IV 線
- 600Vビニル絶縁電線(単線・より線)。電線管内で使用する。単独での裸布設不可。
早見表
分岐距離 × 必要許容電流割合(内線規程1360-9)
L ≤ 3m
許容電流
≥ 幹線×35%
≥ 幹線×35%
3m < L ≤ 8m
許容電流
≥ 幹線×55%
≥ 幹線×55%
L > 8m
分岐側に
過電流保護器要
過電流保護器要
| 分岐距離 L | 分岐電線 必要許容電流 | 分岐側保護器 |
|---|---|---|
| L ≤ 3m | 幹線定格 × 0.35 以上 | 省略可 |
| 3m < L ≤ 8m | 幹線定格 × 0.55 以上 | 省略可 |
| L > 8m | 幹線定格 × 1.00 相当 | 原則 施設必要 |
配線方法による電流減少係数(同一管内本数)
| 収容本数 | 係数 |
|---|---|
| 3本以下 | 0.70 |
| 4本 | 0.63 |
| 5〜6本 | 0.56 |
| 7〜15本 | 0.49 |
| 16〜40本 | 0.43 |
CVケーブル 3心 許容電流(A、周囲温度30℃)
| サイズ | 空気中 | 管内(3本以下) |
|---|---|---|
| 2sq | 27 | 22 |
| 3.5sq | 37 | 30 |
| 5.5sq | 49 | 39 |
| 8sq | 61 | 48 |
| 14sq | 88 | 69 |
| 22sq | 115 | 90 |
| 38sq | 162 | 127 |
| 60sq | 217 | 169 |
| 100sq | 298 | 233 |
| 150sq | 395 | 308 |
| 200sq | 469 | 366 |
CV-T / CV-D / CV-Q 許容電流(A、空気中・周囲温度40℃・1条布設)
出典:フジクラ・ダイヤケーブル「600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル CVD/CVT/CVQ」カタログ(JIS C 3605)
| サイズ | CV-D(2心一括) | CV-T(3心一括) | CV-Q(4心一括) |
|---|---|---|---|
| 8sq | 66 | 62 | — |
| 14sq | 91 | 86 | 86 |
| 22sq | 120 | 110 | 110 |
| 38sq | 165 | 155 | 155 |
| 60sq | 225 | 210 | 210 |
| 100sq | 310 | 290 | 290 |
| 150sq | 400 | 380 | 380 |
| 200sq | 490 | 465 | 465 |
| 250sq | 565 | 535 | 535 |
| 325sq | 670 | 635 | 635 |
| 400sq | 765 | 725 | 725 |
| 500sq | 880 | 835 | 835 |
※ CV-T は三相3線式、CV-D は単相、CV-Q は1線心を中性線/接地線として使用する場合に適用。
使い方の手順
- 分岐側で使う予定のケーブル種別とサイズを決めます(DDK電線ブレーカー選定ツール/DDK電圧降下計算ツールで決定済みのものを使う)。
- このツールに、幹線過電流保護器の定格・分岐電線の許容電流・分岐距離の3つを入力します。ケーブルの種別とサイズを選ぶと許容電流は自動入力されます。
- 「分岐距離判定を実行」を押すと、内線規程1360-9(35% / 55%ルール)に基づいて OK / NG が出ます。
- NGなら、表示された「必要許容電流」を満たすサイズに分岐電線をアップするか、分岐側に過電流保護器を施設します。
- L > 8m の場合は分岐側の過電流保護器が必要、と案内が出ます。
出典・注意事項
参照版号(ツール作成時点):内線規程 JEAC 8001-2022年版/電気設備技術基準・解釈/JIS C 3605(CV/CVD/CVT/CVQ)/関連JIS(各規格の現行版)。規程改訂時は最新版との差異を必ず確認してください。
許容電流データの出典:CV 3心・IV 線 → 内線規程1340節(周囲温度30℃基準)/CV-T・CV-D・CV-Q → フジクラ・ダイヤケーブル「600V 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル CVD/CVT/CVQ」公式カタログ(周囲温度40℃基準・1条布設)。種類により基準温度が異なるため、実機条件に合わせた温度補正が必要です。
温度補正の目安(CV系・絶縁体最高温度90℃):基準温度から+10℃で約 ×0.91、+20℃で約 ×0.82。逆に-10℃で約 ×1.10。実機の周囲温度に応じて計算結果に補正係数を乗じてください。
1360-9の細則について:8m超の例外条項(分岐電線の許容電流が幹線過電流保護器定格より小さくても認められるケース)は保護協調により判断が変わります。本ツールは「8m超は分岐側に過電流保護器を施設」を基本表示としています。個別案件は内線規程の本文と電気主任技術者の判断を優先してください。
本ツールは設計・施工の補助用です。最終判断は設計図書・電気主任技術者・メーカー技術資料に従ってください。