「1級電気工事施工管理技士、独学で受かるんかな?」「実地試験ってやっぱ難しいんやろか?」っていう疑問、自分も受験前にめっちゃググりました。
結論から言うと、自分は3度目の正直で合格しました。1回目は学科で落ちて、2回目は学科受かって実地で2連敗。3回目でようやくストレート合格、っていう情けない経歴です。でもその分、「何が悪くて落ちたのか、何を変えたら受かったのか」がはっきり見えました。
この記事は、合格体験記というより失敗体験記です。これから受ける人に「自分と同じ落とし穴にハマらんといて」っていうつもりで、リアルに書きます。
- 1級電気工事施工管理技士で何ができるようになるか(仕事の幅・キャリアの選択肢)
- 2021年からの制度変更(学科・実地 → 第一次・第二次検定/技士補新設)
- 1〜2回目に落ちた本当の理由
- 3度目の正直で受かるまでにやった具体的な勉強法
- 実地(経験記述)の対策、これだけは絶対やった方がええこと
- 合格して仕事はどう変わったか
CHAPTER 11級電気工事施工管理技士って何ができる資格?
まずここから整理します。「持っとった方がええんは知っとるけど、具体的に何ができるん?」っていう人、けっこう多いです。
1級電気工事施工管理技士は、建設業法で定められた国家資格。電気工事の現場で「施工管理(工程・品質・安全・原価の4管理)」をやる立場の人が取る資格です。
2級と1級の一番デカい違いは、1級だけが「監理技術者」になれるっていう点。
監理技術者って何かっていうと、ざっくり言うと「大きい工事の元請責任者」。具体的には、元請会社が下請に出す金額の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になるような大規模な現場で、元請会社が必ず1人配置せなあかん人。これが置けないと会社として大きい現場を受けられません。
「第一種電気工事士でええんちゃう?」って思うかもしれませんが、電気工事業の監理技術者は1級電気工事施工管理技士(または技術士)しかなれません。第一種電気工事士は主任技術者にはなれますが、監理技術者にはなれない。実務の資格と管理の資格、別モンってこと。
※「監理技術者」と「主任技術者」の違いは、別記事で詳しく解説してます。
CHAPTER 2制度が変わった話(自分が受けた頃と今は違う)
自分が受けたのは令和2年度(2020年度)で、これは旧制度の最後の年でした。翌年から制度が大きく変わって、しかも2024年にもう一回受験資格が変わってます。これから受ける人と話が噛み合わんようにするため、ざっくり整理しときます。
- 〜2020年度(旧制度・自分が受けた時):「学科試験」と「実地試験」。一次合格は翌年実地まで限定有効。実地で落ちたら救済1回限り、それも落ちたらまた学科から
- 2021年度〜(令和3年度改正):「第一次検定」と「第二次検定」に名称変更。一次合格は無期限有効に。「1級電気工事施工管理技士補」の称号が新設(一次に受かった時点で名乗れる)
- 2024年度〜(令和6年度改正):1級の第一次検定は19歳以上なら誰でも受験OK(学歴・実務経験不問)に。第二次検定は引き続き実務経験必要
新制度、圧倒的に親切です。特に「一次合格が無期限」は、自分みたいに実地で複数回落ちる人間にとっては夢のような話。技士補の称号も、二次落ちても肩書きが残るからモチベ維持に効くと思います。
これから受ける人は、今の制度の方が確実にチャンスが多いって思ってもらって大丈夫です。
CHAPTER 3受験の動機:35歳・子供のために本気モード
正直、20代の時に1回目受けた時は気合いゼロでした。会社に「受けとけ」って言われて、何となく受けた感じ。当然、学科で落ちました。
2回目を受けたのも、まだ独身の頃。学科は受かったんやけど、実地でコケた。翌年実地のみで再挑戦したけどまた落ちた。
やけど当時の自分は「無理かもなあ」やなくて「別にええやろ」って気持ちが強かったです。「なんで休みの日まで使って試験受けなあかんねん、休日手当でも出るんか?」くらいの完全な舐めプ気分でした。
結婚して、子供が2〜3歳になって変わった
転機は結婚して、子供が2〜3歳になった頃。家族を養うことを真面目に考えるようになって、「給料を上げたい、その手段は何や」って考えた時に、1級が頭に浮かびました。
自分の業界で給料を上げる一番確実な方法は、持ってる資格のランクを上げること。電気工事士1種は持ってた、施工管理1級も取れば、現場代理人として任される範囲が一気に広がる。会社の中での立ち位置も変わる。
独身時代の「何となく受験」と、家族のためにっていう「絶対受からなあかん受験」では、勉強への向き合い方が全然違いました。同じ自分とは思えんくらい。
これから受ける人で、まだ「何となく」って気持ちの人がいたら、動機を一回ちゃんと言語化した方がええと思います。その動機が強いほど、勉強時間を捻り出す力になります。
CHAPTER 4過去2回の挫折:何が悪かったのか
3度目で受かった理由を語る前に、1〜2回目に何で落ちたかを整理しときます。これがそのまま「やったらアカンこと」のリストになります。
1回目(学科で落ちた):勉強時間がそもそも足りない
独身時代の1回目は、仕事終わってから1時間とかチラッと過去問見るだけ。それで受かるほど甘い試験じゃなかったです。学科は出題範囲が広い(電気理論・電気設備・施工管理・関連法規・施工計画など)から、付け焼き刃では絶対無理。
2回目(学科○・実地✗):実地の準備不足を舐めてた
2回目は学科は受かりました。気を良くして実地に挑んだけど、ここでハマりました。学科受かったから実地もイケるやろ、っていう完全な舐めプ。
実地は学科とは別の頭の使い方が必要やのに、それを分かってなかった。試験会場でお題を見て、その場で経験を捻り出して書こうとしたら、時間切れ+文章ぐちゃぐちゃで撃沈。
翌年(実地のみ再挑戦):同じパターンでまた落ちた
旧制度は「学科合格者は翌年実地のみ受験できる」って救済があったんで、それを使って再挑戦。でも結局、準備の仕方が前年と同じやったから、同じパターンで落ちました。
これでまた学科から受け直し、っていう振り出し戻りを食らって、しばらく立ち直れんかったです。
CHAPTER 53度目の正直、勝因①:勉強時間と気合いをひたすら積んだ
3度目は本気で受けました。やったことは特殊なことやなくて、「ただ、ひたすら時間を積んだ」これだけです。
勉強スケジュール
- 学科試験前に約3ヶ月(実質、ぎゅっと詰めたら2ヶ月くらい)
- 実地試験前にまた約3ヶ月(同じく実質2ヶ月くらい)
- 合計、年内に半年弱
平日のリアルな1日
- 6時過ぎ起床
- 7時半過ぎに現場到着
- 現場仕事 → 20〜21時に帰宅
- 晩飯・風呂
- 22時頃〜翌1時まで勉強(約3時間)
- 就寝、5時間ちょい寝て翌朝へ
平日ベースで「やれる日にやる」を3ヶ月続けた感じです。平日は3時間、休みの日は6時間くらいやった日もあって、ぎゅっと詰めたら2ヶ月分くらいの密度。完璧にやれたわけじゃなくて、できない日もあったけど、これを学科前と実地前で2サイクル繰り返した感じです。
トータルすると350時間くらいっていう感覚です。ネットで「1級電気工事施工管理技士 勉強時間」を調べると、合格目安は300〜500時間って書かれてることが多いので、自分の350時間はちょうど世間の平均レンジに収まってます。
裏を返すと、350時間積めば届く試験でもあるってこと。「無理ゲー」じゃなくて「やればいける」試験です。
使ったテキスト・問題集
市販のテキストと過去問題集を使いました。特殊な教材は不要です。過去問を10周する気で(自分も実際そこまでは届いてないですが、最低でも3周は必須)、間違えた問題の解説を読み込む、っていう王道の勉強法。
1級電気工事施工管理技士の学科は、過去問の焼き直しがめちゃくちゃ多い。だから過去問をしっかり潰せば、学科は確実に取れるようになります。
CHAPTER 63度目の正直、勝因②:実地は事前に経験記述を仕込んで暗記した
ここが今回の記事で一番伝えたいパートです。1級の実地試験(今で言う第二次検定)の最大の壁は、「経験記述」っていう記述問題。
経験記述って何?
自分が過去に施工管理した工事の中から、お題に沿った事例を選んで、「問題と理由」「対策」っていう型で文章にする問題です。
毎年お題が変わります。例えば自分が受けた令和2年度のお題は:
- 墜落災害または飛来落下災害を予想した作業を2つ書け
- 感電災害を予想した作業を1つ書け
っていう内容でした。年によって「品質管理」「工程管理」「環境問題」「労働災害」とかにテーマが変わります。
過去2回はこれで詰んだ:「会場で捻り出す」のは絶対無理
過去2回の自分は、会場でお題を見てから現場経験を思い出して書こうとしてました。これが完全な敗因。
- 緊張しとる中で経験を思い出すのは想像以上にしんどい
- 思い出せても、それを「問題→理由→対策」の型に整理する時間がない
- 結果、文章がぐちゃぐちゃで論理が破綻する
3度目は「事前に完成形を作って、丸暗記」した
3度目の正直で変えたのは、準備の仕方。具体的にこうやりました:
- お題は「墜落」「飛来落下」「感電」「品質管理」「工程管理」みたいに毎年いくつかのパターンに絞られる
- そこで、各パターン用に経験記述を完成形で書き起こした
- その完成形を書いて覚える=丸暗記した
- 試験当日は、お題を見て該当パターンを思い出して書き写すだけ
※新制度(第二次検定)の最新の持ち込みルールは、念のため一般財団法人建設業振興基金の公式「受検の手引」で確認しといてください。基本的なルールは大きく変わってないはずですが、念のため。
これ、受験生に伝えたい一番のポイントです。「経験記述?現場経験あるから何とかなるやろ」って思っとる人、自分と同じ轍を踏みます。
現場経験があるのと、それを採点者に伝わる文章で再現できるのは、別の能力です。後者は事前準備しとかんと身につきません。
CHAPTER 7経験記述で書いた工事のリアル
参考までに、自分が令和2年度の試験で書いた経験記述の中身をざっくり紹介します。固有名詞は伏せます。
あと正直に書いておくと、この試験は答案が返ってこないので、自分のこの経験記述でどこで点が取れて、どこが減点されたのかは正確にはわかりません。「3度目の正直で合格した人が、こういう型で書いた」っていう参考レベルとして読んでください。自分の現場経験を「問題→理由→対策」の型に整理する練習材料にしてもらえたら、それで十分です。
書いた工事の概要
- 工事:大阪府内の物流センター系新築工事の電気設備工事
- 規模:S造+RC造、延床63,000㎡、4階建て
- 工期:令和元年9月〜令和2年12月
- 立場:現場代理人
- 担当:工程管理・品質管理・安全管理
① 墜落災害の予想と対策
問題:高さ3mのスラブ端部での配管作業で、端部から墜落災害の危険性があると予想した。
対策:
- 2時間毎に現場を巡回し、安全帯の不着用、スラブ端部から身を乗り出すなどの危険作業をしていないかを確認
- 作業前のKYミーティングで、全作業員に安全帯の使用と作業手順を周知
② 飛来落下災害の予想と対策
問題:インサート打設時に鉄粉の飛散、工具の落下災害の危険性があると予知した。
対策:
- KYミーティングで、作業中の保護メガネ着用を周知し、現場巡回時に着用しているか確認した。
- KYミーティングで、使用する電動ドリルには落下防止ストラップを取り付けることを周知し、現場巡回時に使用しているか確認した。
③ 感電災害の予想と対策
問題:キュービクル内への入線・結線作業が充電部近接作業になるため、誤って充電部に触れて感電災害が発生する危険性を予測した。
対策:
- KYミーティングで、作業員と共に図面・現地現物で作業範囲を確認
- 作業前に検電確認を実施し、絶縁具で養生してから作業を開始
こうやって書き出すと「当たり前のことしか書いてないやん」と思うかもしれません。それで正解です。経験記述は奇をてらう必要なくて、「現場でちゃんと管理してる人なら普通に書く内容」を、論理的な型で書くのがゴール。
逆に、ヒーロー譚みたいな珍しいエピソードを書こうとすると、論理がブレて減点されやすいです。地味で正解。
試験当日:覚えたものを思い出して書くだけ
当日は特別なドラマもなく、事前に書いて覚えた経験記述を、問題用紙の解答欄に再現する。それだけでした。
頭の中で「墜落のお題来た→事前に書いたAパターン書く」「飛来落下のお題来た→Bパターン書く」みたいに振り分けて、ひたすら書き写すイメージ。
事前にあれだけ書いて覚える地味な作業を3ヶ月積んだ結果、当日は「想定の範囲内」で終わりました。これが正解パターンやと思ってます。
CHAPTER 8合格して変わったこと
1級電気工事施工管理技士に受かって、仕事面で何が変わったか。これが一番リアルに知りたい人多いと思うんで、正直に書きます。
任される現場の規模が一気に広がった
合格前は中規模の現場がメインでしたが、合格後はサブコンの下請(3次下請)の立場でも数千万〜億単位の電気工事の現場代理人を任せてもらえるようになりました。
これは「資格手当が出るようになった」みたいな単純な話やなくて、業界全体で「1級持ち=大きい現場の責任者候補」っていう共通認識があるから。1級電気工事施工管理技士は監理技術者になれる資格として業界で評価されてるんで、たとえ自分のように3次下請の立場で元請の監理技術者にならない場合でも、社内的には「1級持ちなら大きい現場を任せられる」っていう判断につながりやすいんです。
業態によって1級の効き方は変わる
ただ、ここで一つ補足。会社の業態によって1級の「効き方」はかなり違います。自分が経験したように現場規模が一気に広がるパターンもあれば、現場の役割は大きく変わらず「会社の格」が上がるというパターンもあります。
| 業態 | 1級取得後の主な変化 |
|---|---|
| ゼネコン下請メイン (電気サブコン・その下請含む) | 現場の役割は大きく変わらない。経審点アップ・特定建設業許可・営業面の信頼性UPで会社の格が上がる |
| 電気工事会社が 直接元請になる | 監理技術者として実際に配置される。工場リニューアル・商業施設・公共工事など大型元請案件を直接受注できる |
| 独立・自営 | 建設業許可・特定建設業の取得につながり、事業拡大のマスト資格になる |
自分の場合は勤め先がサブコンの下請として動く会社(3次下請メイン)やったんですが、そこは一般建設業許可だけで公共工事もしてなかったので、上の表の1番に書いた「経審点アップ・特定建設業許可・営業面の信頼性UP」みたいな効果は実はあまりなく、自分個人として任される現場の規模が広がったのが一番リアルに体感した変化でした。当時はまだ独立も視野に入れてなかったので、「会社員として任される範囲が広がった」効果が一番大きかった、っていうのが正直なとこです。業態によっては、表に書いた一般パターンからさらにズレることもある、ってことですね。
「監理技術者」「主任技術者」の違いとか、業態ごとの細かい話は監理技術者と主任技術者の違いの記事で詳しく書いてるんで、業態を見極めたい人は併せて見てみてください。
給料・待遇の変化
具体的な金額は伏せますが、明確に給料は上がりました。資格手当が付く会社も多いし、何より任される仕事の内容が変わるんで、評価のされ方も変わります。
ただこれ、給料の話以上に「会社の売上規模が変わる資格」っていうのが大きいんです。1級持ちが社内におると会社が受けられる工事の規模が広がる=売上が変わる=利益も変わる。経営者目線で見ると、1級電気工事施工管理技士は単なる資格手当の話やなくて、会社の経営資源そのもの。だから資格を持つ人が大事に扱われるし、給料も上がりやすい、っていう構造があります。
自分は独立してDDK合同会社を立ち上げてから、この経営目線での1級の価値をより強く実感しました。会社員のときは「給料上がった」って実感どまりやけど、経営者になると「1級が会社の売上の天井を決めとる」っていうのが見えてきます。
独立の選択肢が現実的になった
そして大きいのが独立の選択肢。建設業許可を取るには「専任技術者」が必要で、1級電気工事施工管理技士はその資格要件を満たします。つまり「自分で会社作って許可を取る」という道が現実的になる。
自分自身、20年勤めた会社を出てDDK合同会社として独立したのも、1級を持ってたから踏み出せた一面が大きいです。資格は単なる肩書きやなくて、キャリアの選択肢を増やすパスポートでした。
まとめ:これから受ける人へ
長々書きましたが、3度目で受かった自分から、これから挑戦する人に伝えたいことを最後にまとめます。
- 動機をはっきりさせる。「何となく」では3ヶ月の勉強は続かへん
- 学科は過去問を10周する気で(最低でも3周は必須)。特殊な教材は要らん
- 実地は事前に経験記述を完成させて、丸暗記する。これが最重要
- 勉強時間の目安は合計350時間くらい(学科前と実地前で2サイクル・平日3時間+休日6時間)
- 新制度(2021年〜)は一次合格が無期限有効+技士補の称号と、旧制度より親切。気負わずに挑戦してOK
1級電気工事施工管理技士は、現場でガッツリやってきた人なら必ず手の届く資格です。自分も2回落ちましたが、3回目でちゃんと受かりました。準備の仕方さえ間違えなければ、誰でも合格できる試験やと思います。
これから受ける同業の方、頑張ってください。応援してます。